和やかに夕食を終え、相棒の散歩から帰ってから、ぼんやりとテレビを見ていたときのことだ。
『あんなぁ。お父ちゃんのことで悩んどって、息子と口きかんようになっとって、ごめんなぁ』って、母が言うのよ。
『何それ?いつの話?』
『だいぶ前。脳梗塞になる前の話。切羽詰まって、首吊って死んだろかと思よったんじゃあ』
『そんなこと、今さら言いなんな』と、母の手を握って言うと、涙腺決壊。
母が、無口になって、引きこもりがちな暮らしぶりになっていたのは、もちろん気づいていた。
年に数回、精神科に通って、眠剤を処方してもらっていたことも。
しかし、母の口から、その当時のことを直接聞いたのは、初めてだった。
そんなに行き詰まってたのに、ボクにも話せなかったのか…。
お母ちゃん、ごめんなぁ。
生きててくれて、ありがとうなぁ。
ちょっとせつない、母の日だった。
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