ココロが風邪をひいていた頃(2)

つづきです。


「つらい思いをしましたね」

と医師に言われ、「とりあえず、3ヶ月仕事を休んで療養しましょう」と。


その間、医師から受けた注意事項はただひとつ。

「何もしようと思わないでください」

だった。「気分転換」もダメ。それすらも考えたり、行動したりするのが心身への負担になる、とのこと。

そう言われれば、療養生活に入る直前に、それまで10年くらい毎年行ってた鈴鹿のF1日本GPに行ってはみたものの、ダルくてダルくて、レースを観戦するどころじゃなかった。スタンド席でひたすら死んだようになってうつむいていたことを思い出した。

また、家で、ダイスキだったはずの特撮のDVDとか好きなアーティストの音楽CDを視聴するのも、まったく楽しく思えなかった。


気分転換なんて、今のカラダじゃムリなのか。


仕事のやり方から、事実上、昼夜逆転の生活パターンになっていたので、とにかく朝から夕方までは、何をやってもカラダがだるいしアタマもすっきりしない。

規則正しい生活に戻して、交感神経と副交感神経が正常に機能するようになるために、睡眠時間もちゃんと毎日同じ時間帯にしないといけないので、睡眠導入剤を処方されたが、効かなかったり、効きすぎて翌日が眠すぎたり、これもコントロールがしんどかった。

日常生活は、3食の食事を両親の分も合わせて自分で作るくらいで、あとは何もせず過ごしていた。テレビも面白さを感じられなかったので、ほとんど見ていなかった。薬のせいもあったかもしれないが、毎日ぼーっと庭を見たり、ときどき夕方に相棒の散歩に行ったりしていたようだ。


とにかく、毎日何もおもしろいと感じることができなくなっていた。


自分がイヤになって、ベッドサイドの壁にアタマをガンガンぶつけまくって、両親をおろおろと心配させたこともあった。

というか、鏡を見ても、自分自身がよく分からなかった。例えるなら、酔っ払って飲み屋のトイレで自分の顔を鏡で見たとき、なんか自分じゃないようなカンジがしてしまうとき、みたいな違和感。


ホントに治るんかなぁ・・・


転機は3ヶ月の自宅療養の終わりに訪れる。(次につづく)

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