今から15年ほど前のこと。
カラオケで「スピッツの『青い車』を歌ってほしい」、とリクエストされたことがある。
聞いたことはあったが、歌えるほど聴き込んでいない曲。
「歌えない」と答えたけど、曲が始まってしまった。
マイクを握ったが、やはり途中で分からなくなって、中断した。
他部署の後輩が紹介してくれたコからのリクエストだった。
スキになりかけていたので、精一杯何とかしたかった。
彼女がボクにリクエストしたのは、それが最初で最後だった。
彼女が、同僚の××さんに恋しているのは知っていた。
でも、自分のキモチを正直に伝えた。
「やっぱり××さんのことがスキなの」
××さんは、同じ職場の別のコと結婚した。
彼女は、ボクには目もくれず、田舎に帰ってしまった。
それからしばらくして、ボクは青い車を買った。
車の中でスピッツの「青い車」が流れると、知らず口ずさんでいる。
たとえあの時、ボクがちゃんと歌いきっていたとしても、彼女のキモチは変わらなかったと思う。
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