紅葉も終わろうかという時期に、安芸の宮島へ向かう。
たぶん、30年ぶり。
30年前は、大学の仲間内4人くらいで行った。
卒業間際にやっと都合をつけて出かけた、日帰りドライブだった。
当時スキだった女の子もいっしょだった。
スキだったけど、2か月前にフラれていた。
フラれていたけど、お互い何も無かったような顔をして過ごしていた。
高速道路がなかったころで、宮島に着いたのは、もう春の陽が傾き始める頃だった。
宮島で過ごした時間はわずかだったし、何をしたかも、ほとんど記憶に無い。
ただ。
こうして、何でもないようなことで笑いながら過ごす時間は、あとほんのわずかなんだなぁと、心の奥で感じていた。
30年ぶりに訪れた宮島。
記憶の中の風景と、あまり変わっていないような気がした。
ボク自身も、30年前とあまり変わらないような気がした。
ボクは、いったい、どこへ行けばいいんだろう。
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