白虹のかかる月の雫は苦い

犬と散歩をしていて夜空を見上げると、薄く霞む夜空の真ん中にぽっかりと十二日目の月が浮かんでいて、その周りに、大きな白い虹の環がかかっていた。

月暈だ。

昨晩の苦い出来事が、不意に頭に浮かんできた。
どうして、あんな事をしてしまったんだろう。
心の中に、苦い雫がポツンと落ちて、見る見る広がっていった。
表面上は、何でもないような振りで取り繕っていても、ホントのキモチは分からない。
連絡のないまま、一日が過ぎようとしている。

いくら心配しても、どうすることも出来ないボクが、ここにいる。

越えられない広い川の此岸で、見えない彼岸を見やって茫然と立ち尽くしている。

家族でも恋人でもない、ただの友だちでもない。だけど、全くの赤の他人でもないと思っているなんて、バカげた思い上がりなのかな?


今宵の月の雫は、苦い。

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