にんげん犬

 人間ドックで供されたお昼ごはん。

 こんなに品数多いのに、716kcalしかないのは、さすがと思いながら、くっだらんことを思い出していた。



 むかしむかし、ボクが大学一年生だった頃の話。

 昼間っからサークルの部室で3人くらいの暇人どもと駄弁ってた。

 そこへ珍しく四年生の先輩がやってきて、一しきり他の部員たちと話をしたあと、不意にボクの方を振り向き、

「おまえ、犬みたいな顔しとるな」

と言い放たれて、絶句してしまった。

 何の前振りもない暴言を真に受け、屈辱感でいっぱいになったボクは、たぶん涙ぐんでたと思う。

 たぶん、その時の先輩は、何とも思ってなかったに違いないが、今時ならモラルハラスメントだったろうと思う。


 二十年ばかり経った三十代後半の頃、五年間システム開発をしていたチームの同僚に、その話を笑い話として提供したら、一人異様にハイテンションで食いついて来た後輩がいて、人を小馬鹿したような笑いを浮かべながら、

「○○さん、犬なんですかぁ?」と、しきりに繰り返してきて、イヤな気分になってしまった。同じ案件で、再びモラハラに遭ったような屈辱を覚えた。

 そのメンバー内で人間ドックに行くという報告をした時も、くだんの後輩は半笑いしながら、

「○○さん、人間犬ですかぁ? 犬から人間になるんですかぁ?」

 くっだらんダジャレで、何度も言い殴るからムッとしてたと思うんだけど、そんなのお構いなしだった。

「おい、いい加減ボクが怒ってるの、気づけよ!」って言いたかったけど、めんどくさいんで、ついに言わず仕舞いだった。


 長いわりにオチもない、くっだらん思い出話だなぁ。

 急に年寄り臭くなったみたいで、誰も気づいてないのに、一人気まずくなった。

 瀬戸内地域のおかめ納豆は、〝いりこ入りまろみだし〟が付いてた。

 納豆、嫌いじゃないんだが、口の周りにネバつく粘りとずるずる引く糸の始末がめんどくさくて、日常的にはあんまり食べない。

 けど、気まぐれに一週間くらい、食べてみるか。

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